引き継ぎの話を進める中で、患者本人だけでなく、家族、ケアマネジャー、訪問看護師、施設職員など、これまで以上に多くの人と話すことになった。
そのたびに、今まで見えていなかった事情や、それぞれの立場で抱えている限界が少しずつ見えてきた。自分では把握しているつもりでも、実際には見えていなかったことがずいぶんあったのだと思う。
引き継ぎは、患者だけを見ていても進まない
訪問診療の引き継ぎというと、つい患者本人の状態や処置内容に意識が向きやすい。
もちろんそれは大事だが、実際にはそれだけでは進まない。誰が付き添えるのか、誰が説明を受けるのか、施設がどこまで対応できるのか、他職種が何を把握しているのか。そうした周辺の条件が、引き継ぎの成否を大きく左右する。
患者本人のことだけを見ていては解けない問題が、思っていた以上に多かった。
情報は分散していて、それぞれの立場から見える景色も違う
引き継ぎの過程では、こちらが知らなかった事情を後から知ることも少なくなかった。
家族の思い、移動手段の問題、施設側の運用、ケアマネジャーが把握している生活背景、訪問看護師が見ている日々の変化。情報は一か所にまとまっているわけではなく、それぞれの立場に分散している。
しかも、同じ出来事でも、立場が違えば見え方も違う。
こちらには当然に思えることが、他の立場ではまったく違う重みを持っていたりする。引き継ぎを通して、その当たり前に何度も気づかされた。
一人で抱える姿勢には限界がある
もともと、自分で何とかできるところまでは何とかしたい、という気持ちは強かった。
それ自体は悪いことではないと思うが、引き継ぎの局面では、それだけでは足りないことがはっきりした。誰かとつながらなければ見えないことがあり、誰かと共有しなければ進まないことがある。
医療は、ひとりの判断や努力だけで完結するものではない。
むしろ、つながりの弱いところにこそ問題が生まれやすいのだと思う。
まとめ
やはり、自分ひとりにできることは限られている。
誰かとつながらなければ解決できないことがある。その当たり前を、引き継ぎの過程で何度も思い知らされた。
※この記事は「訪問歯科診療のたたみ方」シリーズの一部です。

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