「歳だから仕方ないですよね」

診察をしていると、

「歳だから仕方ないですよね。」

と言われることがあります。

硬いものが食べにくくなった。

食事量が減った。

入れ歯を使わなくなった。

食事に時間がかかるようになった。

そうした変化を、

「歳だから。」

と話される方は少なくありません。

もちろん、

年齢とともに身体は変化します。

筋力も変わります。

歯の本数も変わります。

口の中の環境も変わります。

だから、

「歳だから。」

という言葉を、

私は否定しません。

でも、

そこで話を終わりにはしたくありません。

以前は何を食べていましたか。

いつ頃から変わりましたか。

入れ歯は使えていますか。

痛いところはありませんか。

そうやって話を聞いていくと、

食べることの変化が見えてくることがあります。

「食べられています。」

と言っていたけれど、

柔らかいものしか食べていなかった。

「やわらかいものなら食べられます。」

と言っていたけれど、

以前好きだったものを食べなくなっていた。

「入れ歯って具合悪いもんやなぁ。」

と言っていたけれど、

長い間、調整をしていなかった。

「最近は食べなくなった。」

と家族が心配していた。

「むせていないので大丈夫です。」

と言っていたけれど、

食べ方は少しずつ変わっていた。

こうした変化は、

ある日突然起きるわけではありません。

少しずつ変わります。

そして、

人はそうした変化に慣れていきます。

だから、

本人も気付かないことがあります。

家族も気付かないことがあります。

私は、

そうした小さな変化を、

できるだけ見逃したくないと思っています。

「歳だから仕方ない。」

そうかもしれません。

でも、

もし食べ方が変わってきているなら、

その理由を少し考えてみてもよいのかもしれません。

食べられなくなった日ではなく、

食べ方が変わり始めた日に目を向けたい。

そんな気持ちで、

私は患者さんの話を聞いています。

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