訪問歯科診療の終了を伝え始めたときに起きたこと

訪問歯科診療を終えることを伝え始めた頃、まず感じたのは、同じ説明でも受け止め方は人によってまったく違うということだった。
静かに受け止める人もいれば、惜しんでくれる人もいる。戸惑う人もいれば、怒りに近い反応になることもある。診療の終了は、単なる予定変更ではなく、関係の終わりとして受け取られることがあるのだと思った。

同じ説明でも、反応は同じにならない

こちらとしては、必要なことを必要な時期に伝えているつもりでも、相手の受け止め方は一様ではない。
淡々と受け止める人もいれば、残念そうにする人もいる。あからさまに困惑する人もいるし、怒りに近い反応として返ってくることもある。

どれが正しいという話ではない。
長く続いてきた関係が終わることを、それぞれの人がそれぞれの形で受け止めているのだと思う。

終了の説明は、ただの事務連絡ではない

診療者の側から見ると、終了の説明は運用上必要な手続きのひとつに見える。
しかし受け取る側にとっては、単なる連絡ではなく、「これまで当たり前に来ていた人が来なくなる」という出来事そのものになる。

訪問歯科診療では、日々の処置だけでなく、顔を見せることや、そこで交わされる短い言葉も含めて関係ができている。
だから終了を伝える場面には、予定変更以上の重みが生まれるのだと思う。

相手の反応を、すぐに整えようとしなくてよいのかもしれない

終了を伝えたとき、相手が戸惑ったり、感情的になったりすると、その場を何とか丸く収めたくなる。
けれども、そこで無理に納得してもらおうとしたり、きれいに終わらせようとしたりすると、かえって本質がぼやけることがある。

必要なことは、はっきり伝える。
そのうえで、相手の反応までこちらの都合のよい形に整えようとしない。終了を伝えるというのは、そういう場面でもあった。

まとめ

訪問歯科診療の終了を伝えることは、単なる事務連絡では済まない。
それもまた診療の一部であり、相手の反応ごと引き受ける場面なのだと感じた。

※この記事は「訪問歯科診療のたたみ方」シリーズの一部です。

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