治療が終わったあとに残るもの

医療では、まず病気を治すことが大切です。

手術が無事に終わる。

治療が予定どおり進む。

病気をしっかり治療できる。

それはもちろん、とても大切なことです。

でも、治療が終わったあとにも生活は続きます。

食べる。

話す。

人と会う。

外へ出る。

毎日の生活に戻っていく。

そのとき、治療そのものは終わっていても、以前と同じようにはできないことが残る場合があります。

たとえば、口の中の手術を受けたあと。

口が開きにくくなる。

舌や頬が動かしにくくなる。

食べ物を口の中でうまく運べない。

発音しにくくなる。

歯や顎の一部を失うことで、噛みにくくなる。

こうしたことは、病気そのものとは少し違います。

治療が必要だった結果として、その後の生活に残る問題です。

だから、病気を治すところまでで医療が終わるわけではないのだと思います。

その人が、その後どう食べるのか。

どう話すのか。

どう暮らしていくのか。

そこにも、医療が関われる余地があります。

歯科でできることは限られています。

失われた機能を、完全に元どおりにできるわけでもありません。

それでも、

義歯を作る。

装置を工夫する。

食べ方を考える。

口の動きを少しでも使いやすくする。

そうやって、残った問題を一つずつ小さくしていくことはできます。

以前と全く同じ生活に戻れなくても、

食べられるものが増える。

会話が少し楽になる。

外食できるようになる。

食事を楽しめるようになる。

そうした変化には、大きな意味があります。

病気を治すこと。

そして、そのあとを生きていくこと。

この二つは、つながっているようで、同じではありません。

だから私は、治療が終わったあとの生活まで見ながら、

「この人に今できることは何だろう」

と考え続けたいと思っています。

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