義歯や装具が完成しました。
さて、その後、患者さんはどのように使っているのでしょうか。
毎日の食事で使っている人もいれば、特定の場面でだけ使っている人もいます。
まったく使っていない人もいます。
私は、そうした話を聞くのが好きです。
どんなときに使っているのか。使うことで、生活の何が変わったのか。
使っていないのであれば、それはどうしてなのか。
使わなくても困っていないのか。それとも、何か困ったことがあって使えなくなったのか。
調整すれば、また使ってみたいと思っているのか。
聞いてみたいことはいくらでもあります。
そもそも、作ったからといって、必ず使わなければならないわけではありません。
完成した装具は、患者さん自身の持ち物です。自分なりの使い方があってもよいと思っています。
実際に使ってみて、「やっぱり自分には合わないな」と感じることだってあるでしょう。
使ってみたからこそ得られた感想です。それも尊重したいと思います。
ただ、うまく使えていない理由が、こちらの説明不足や調整不足にあるのなら、話は別です。
もう少し調整すれば使いやすくなるのではないか。説明の仕方を変えれば、使ってもらえる場面が増えるのではないか。
患者さんが装具の目的や使い方を十分に理解できていなかったり、何らかの先入観が影響していたりすることもあります。
理由は本当に千差万別です。
そして、装具を使わないことで、別の問題が生じることも気になります。
たとえば、装具を使わずに食事をすると、食べ物を十分に噛めない場合があります。
だからといって、無理に丸呑みしようとすれば、窒息につながるおそれもあります。
そうした患者さんには、食べ物の大きさや硬さに気をつけること、十分に噛めないものを無理に飲み込まないことなどをお伝えします。
装具を使うかどうかは、患者さん自身が決めることです。
その一方で、使わない理由を聞き、改善できるところを探し、必要な助言をすることは、私の仕事だと思っています。
だから、私にとって装具の完成は、診察の終わりではありません。
完成してから聞きたいことが、まだまだたくさんあるのです。

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